2012年3月27日火曜日

ボードゲーム Innovationの特徴

  Innovationの特徴。様々あげることができると思うが今日は以下の点から語りたいと思う。それは、どんなに回数を重ねても、ゲームを始める前には戦略・戦術が立てられないこと。これはよく遊ばれる他のボードゲームでは考えられないことである。カタンにおいても、プエルトリコにおいても、アグリコラにおいても、ドミニオンにおいても、戦略・戦術というのは常にプレイヤーに提示されてきたし、プレイヤーは感想戦においてそれを話し合ってきた。
  Innovationは長期戦略(あるいは戦術)を立てる自由はないといっていい。
「今日は[塔]をガンガン使って時代の早いうちから攻めるぞ―」「じゃあ、俺はそれに対抗して[葉]、[王冠]集めて妨害しつつ時代中盤で攻勢かけるわー。これの方が後半にも対応できるし、有利だと思う」なんて会話は成立し得ない。ゲームが始まって最初の手札が配られてから「これが来て相手がこうだから、こうしたほうが有利…?」「どうしようもないから、引いてくるカードにかけるしかないな。ドローします。」という具合に短期を決めて中期のバランスを見据えるくらいのプレイ感で進行していく。
  カードの引き方、場への出され方に、無数の分岐があるために、どのカードが、強力なカードになるか”ほぼ”わからない。”ほぼ”と書いたのはキーになる時代や、カードは存在しているので、何度もプレイしていると押さえるべきところがわかってくるためだ。この”ほぼ”の要素があるおかげで、このゲームは完全なバカゲーではなく、何度か遊んでいくと戦略的に戦えるゲームになっている。(少なくとも前半の時代は)
  上記のような点を長所とみるのか、短所とみるのかで、このゲームの評価は全く変わるだろう。長所と見れば筆者のようにこのゲームだけで6時間くらい過ごしても全く問題ないほど嵌る事ができるだろう。しかし、ほどよい戦略と運のバランスがあるゲームを楽しむような、純粋なユーロゲーム好きから見れば、このゲームは前半にちまちま細かい作業をさせる割に、後半の強力なカードでその作業を無に返すこともある”運ゲー”であろう。もちろん、そのような大味なアメゲー臭さが無いゲームだとは言わない。(後、大局的にしか感想戦ができないのは少し寂しいというのも欠点になるかもしれない。)
  私が、今Innovation未経験のボードゲーマーに言えること。それは、とにかく1度やってみて欲しいゲームだということだ。日本語版発売と同時にMust Buyで買って欲しいゲームではない。気に入ってから買って欲しいゲームだ。ゲームをやっている間の、振り回される感じはまさにこのカードゲームがInnovative(革新的な)ゲームであることを確信させてくれるだろう。もし、気に入って何回もやれば、このゲームが”きちんと練られた”大味なゲームであることも確信することになるだろう。

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