2016年8月8日月曜日

ヨグトークンドルイドの変遷

旧神環境になって颯爽と現れ今やTier1デッキの常連となった、ヨグトークンドルイドのガイド…
ではなく3つの異なるデッキパターンの紹介でこのアーキタイプの奥深さを知っていただきたい。
(出てくるプレイヤー名は敬称略とさせていただいた)

①J4ckiechan型



 F2K所属のプロ、J4ckiechenが5月シーズンでレジェンドランク2に到達し、Reddit及びHearthpwnに6月に投稿したもの。
獰猛な咆哮
森の魂
旧神のささやかな灯*2
セナリウス
 トークンに断末魔を付与し全体除去への耐性をつけることのできる森の魂を採用し、コントロールを意識した形になっている。また、獰猛な咆哮により相手の不意を衝いてリーサルダメージを与えることもできる構築である。

②Senfglas型



 6月にこれもF2K所属のSenfglasがレジェンドランク3に到達したデッキ。
アジュアドレイク*2
ソーリサン皇帝
戦の古代樹
 いずれもランプドルイドでよく見るカードが採用されており、ささやかな灯と森の魂が抜けている。これ以後、戦の古代樹を2枚採用した形や、爪のドルイドを追加して採用するなどのランプドルイドに近づけたような形が流行する。Zooやアグロシャーマン、ドラゴンウォリアーのテンポ重視流れに対応して挑発持ちの大型ミニオンを追加した流れであろう。
 このようなトークンドルイドをランプドルイドに寄せていく流れの中で、セナリウスをオニクシアに差し替えるデッキが現れる。セナリウスは+2/+2バフの流れで使用すると強いが、盤面が空の状態で出した場合3体しかミニオンが出ない上、それほど3体のスタッツが高いわけでもないので、返されやすいという欠点があった。また、不利な状況で出した場合も2/2の挑発2体なので劇的に改善するというわけでもなかった。ランプを混ぜたような形の場合、盤面が埋まってから出てくるというよりは、錬気を利用して早いターンに出せる場合が多いため、盤面が空の状態から8/8を出しながら1/1で盤面を埋めることができるオニクシアが採用されるようになったものだと思われる。
 7月後半になり、オニクシアとセナリウスが両方採用されたものも登場した他、戦の古代樹を2枚にし、ヨグの代わりにラグナロスを採用したりとランプドルイドにトークン要素を混ぜたような状態になっていった。

③Noblord型



 7月の終わりにNoblordがレジェンドランク4に到達したデッキが本人のツイッターで紹介され、日本のTeam mobcastに所属していた元プロゲーマーのtansokuラダーで使用し、NA・Asia両サーバーで2桁フィニッシュを果たしたデッキ。執筆段階においてはもっとも新しい形である。
獰猛な咆哮*2
爪のドルイド*2
旧神のささやかな灯*2
オニクシア
以上4枚の採用が特徴的であるが、どちらかというと不採用のカードの方が目を引く
アジュアドレイク 不採用
古代地の番人 1枚
妖獣の激昂 不採用
 古代地の番人を2枚でなく1枚にする構築は時たま見られたが、アジュアドレイクをまったく採用しないこと、妖獣を不採用にすることはかなり新しい構築といえる。
獰猛な咆哮により盤面にミニオンが残った状態から狙えるリーサルダメージがかなり高いことが特徴で、戦の古代樹でなく爪のドルイドを採用しているのも突撃モードで使うことがあるためだと考えられる。
オニクシアセナリウスという判断がくだされているデッキでもある、以下で語るように野蛮な咆哮による

2、2種類の攻め筋(※1)

上記で紹介をした①、②,③の構築は①と③が同じ攻め筋を共有しており、②は文章中でもふれたとおりランプドルイドの攻め筋を追加したような形になっている。
3つともトークンドルイドだから共通の攻め筋があり。ヴァイオレット・アイの教師ファンドラルと各種スペルを組み合わせ、トークンの生成と全体強化を同時にすることによって、盤面を確保し、そのまま殴り勝つというものである。
 ②のランプドルイドの勝ち筋は、戦の古代樹・ラグナロス・オニクシア等の大型ミニオンを野生の繁茂や滋養、錬気のマナ加速を合わせて早期に盤面に叩き付け、優位をとってしまい、そのままフィニッシュまで持ち込むというものであり、ファンドラル・教師・大型ミニオンと除去優先度の高いミニオンを次々繰り出せば、相手の確定除去をかいくぐれるという形になっている。
 ①・③の勝ち筋は②と微妙に異なっており、相手の全体除去切れを狙ったものになっている。つまり、1/1のミニオンを盤面に敷き詰めたところで全体除去によって、簡単に1対多の交換を取られてしまうが、これを何度も仕掛けることで1/1のミニオンでさえも除去されない状況を作ることができる。例えば、ドラゴンウォリアーには通常全体除去としてはグールが2枚入っているだけ(※2)である、つまり2回グールが出てしまえば、後は灯で1/1のミニオンを無造作に並べても次のターンにはそれなりのミニオンが盤面に残るということである。また、全体除去ばかりをマリガンの際に手札に抱えておくわけにもいかないので、途中での全体除去切れということも起こりうる。この場合も、相手が次の全体除去を引いてくるまでは、小さいミニオンを場に残しやすくなる。
 ①のデッキでは、残したミニオンをセナリウスやスペルで全体にバフをかけて除去態勢を上げることでボードをコントロールし、勝利することを目指していた。(森の魂はコントロール特に確定の全体除去を持つウォリアー、パラディンに対して強力に作用する)
 ③の場合は2枚採用された野蛮な咆哮のおかげで非常に長いリーサル範囲を持っているのが特徴である、自然の援軍がナーフされる前のドルイドは野蛮な咆哮と突撃をもったトークンによって体力が14以下になった相手をなぎ倒して行った。
(盤面に残ったミニオン+1)×2 + 盤面に残ったミニオンのアタックの合計が与えられるダメージなので、1/1といえども7体場に残っていると23点ダメージが与えられる。
 このデッキがシーズン終盤に結果を残した理由としては2枚目の野蛮な咆哮にあるだろう、2枚目の野蛮な咆哮があれば、先ほどの式の×2が“4”になるので、盤面にとりあえずミニオンが5体残っていれば、ほぼリーサルである(24+5)。1/1以外のミニオンが残っていたり、より多くのミニオンがいれば、アーマーを積んだウォリアーでも楽々リーサル圏内へ持ち込める。上で紹介したように、野蛮な咆哮は採用が減っており、また2枚採用されることはほとんどなかったため、相手のリーサル予想を覆すような展開が多く発生したと思われる。このようなびっくり要素を持ったデッキはシーズン終盤に結果を残すことがしばしばある。
 新アドベンチャーを間近に控え、このデッキがトークンドルイドの最終形となるかは不明だが、①のJ4ckiechanのデッキに面白さを感じ、②のデッキがイマイチ…と感じた人(※3)にはお勧めである。筆者もこのトークンドルイドを今シーズンのランク戦で使っているが、対コントロール、対ドラゴンウォリアーには概ね有利、対ハンターは五分五分、Zooは不利、アグロシャーマンは圧倒的に不利といった感じである。ハゲストーンに怒りを覚えている自然の守り手はぜひ③のデッキを試して往年のコンボの理不尽さを感じていただきたい。

※1…攻め筋とは、いわゆる一つのWin Conditionを想定して使用した、そちらになじみのある人は読み替えていただければ幸いである
※2…この裏をかくため、バロン・ゲドンを採用した外道なドラゴンウォーリアーもいる(憤怒)
※3…②のデッキがイマイチというのは、ランプドルイドの劣化版なのではという疑念が晴れないからである。戦の古代樹2枚も入れるなら素直にアグロ対策に寄せて、トークン要素を抜いたほうが安定するのではという考えが抜けないのである。②の方向性は状況に応じたベストバランスを探しているところであると思う。

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